看護師国家試験 計算対策 点滴滴下計算・輸液ポンプ

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点滴滴下計算

点滴は言わずとしれたものですが、ボトルやバッグを吊り下げて少量ずつ注射薬を投与するための注射方法です。薬液などの投与をする際に利用しますが、注入速度が速すぎると身体の不調が出たりすることもあります。国家試験だけでなく、実務でも使えるように計算はマスターしておきましょう。

点滴の計算式は、公式化されたものもあります。私は公式化せずに2段階の計算で求めていきます。

  • 輸液量全体で何滴の点滴作れるかを求める。
    全点滴数 = 輸液量(mL)×輸液セットの滴数(滴/mL)
  • 求めた全体の点滴数を時間(分)で割る。
    1分間の滴下数 = 全点滴数 ÷ 時間(分)

具体的に計算例でみていきましょう。

点滴滴下計算の例題:
点滴静脈内注射360mLを3時間で行う。一般用輸液セット「20滴/mL」を使用した場合の滴下数を求めなさい。(第100回)

まず、全点滴数を計算します。

全点滴数=360mL×20滴/mL = 7200滴

次に1分間の滴下数を求めます。時間の単位は分なので、3時間を分に直します。

3時間×60分 = 180分

よって、1分間の滴下数=7200滴÷ 180分 = 40滴/分

練習問題
1500mLの輸液を朝9時からその日の17時にかけて点滴静脈内注射で実施する。20滴で1mLの輸液セットを用いた場合の1分間の滴下数を求めなさい。ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。(第109回)

全点滴数 = 1500mL×20滴/mL = 30000滴

時間は17時-9時=8時間

分に直すと8時間×60分=480分

1分間の滴下数 = 30000滴÷480分 = 62.5 ≒ 63滴/分


!注意!
一般用輸液セットが20滴/mLということ、小児用輸液セットが60滴/mLであることについては、問題文中省略されることがあります。しっかりと覚えておきましょう。また、通常の問題として出題されるケースもあります。

輸液セット選択の例題:
成人輸液セット1mLあたりの滴下数はどれか。(第105回)
1. 20滴
2. 40滴
3. 60滴
4. 80滴

答えは1。


輸液セットの表示を省略した問題には以下のようなものがあります。

点滴計算の例題(少し難しめ):
体重9.6kgの患児に、小児用輸液セットを用いて体重1kgあたり1日100mLの輸液を行う。このときの1分間の滴下数を求めなさい。ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。(第109回)

この問題では、小児用輸液セットが60滴/mLであることが省略されています。自身で書けるように覚えておきましょう。

また、輸液量(mL)がありませんが、体重から計算することになります。

輸液量(mL) = 9.6kg×100mL/kg = 960mL

あとは先述の解き方を使って解くことになります。

全点滴数 = 960mL×60滴/mL = 57600滴

時間は1日なので、24時間×60分 = 1440分なので、

1分間の滴下数 = 57600滴÷1440分 = 40滴/分


時には応用問題も出題されるケースがあります。滴下速度を求めるのではなく、輸液の残量を求める計算問題が出題されたことがあります。

点滴滴下計算の例題(難しめ):
500mLの輸液を50滴/分で成人用輸液セットを用いて順調に滴下し、現在80分が経過した。このときの輸液の残量を求めなさい。ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下の第1位を四捨五入すること。(第105回)

この問題も滴数を中心に考えると解きやすいです。

まず、80分経過時に何滴投与されたかを計算します。

滴下数の計算は、滴下速度(滴/分)×時間(分)で求めます。

滴下数 = 50滴/分×80分 = 4000滴

4000滴が何mLになるかを計算するわけですが、一般用輸液セット20滴/mLを使う必要があります。滴数をmLに直す場合には、全点滴数(滴)÷輸液セットの滴数(滴/mL)で求めます。

4000滴÷20滴/mL = 200mL

これで80分に200mLが消費されたことがわかります。元々500mLなので、残りの液量は、

500mL – 200mL = 300mL

となります。

よって、答えは300mLとなります。

年度によっては応用問題も出題されるようになっていますが、やはり基本的な問題の出題が中心です。まず基本問題を解けるようにし、応用問題は余裕があるときに練習をしてみましょう。

輸液ポンプ

点滴と同様に薬液を投与するものですが、機械を用いた点滴になります。薬を正確に投与しなければ重大な副作用を引き起こす可能性があるとき、輸液ポンプを用いて薬液の注入速度を細かく調整して投与を行います。注入をする際には、時間あたりの流量を設定する必要があります。

輸液ポンプ選択の例題:
輸液ポンプを使用する目的はどれか。(第103回)
1. 異物の除去
2. 感染の防止  
3. 薬物の効果判定
4. 薬液の注入速度の調整

答えは4。

輸液ポンプの選択の例題2:
点滴静脈内注射で輸液ポンプを使用する際に設定する項目はどれか。(第111回)
1. 薬剤名
2. 終了時間
3. 投与月日
4. 1時間あたりの流量

答えは4。


輸液ポンプの問題には、計算問題もあります。

一般的には、経過時間から終了時刻を求める問題になります。計算式は以下のようになります。

輸液時間 = 総輸液量(mL) ÷ 輸液ポンプの設定量(mL/時)

輸液ポンプ計算の例題:
輸液ポンプを50mL/時に設定し、500mLの輸液を午前10時から開始した。終了予定時刻を求めなさい。(第100回)

500mL÷50mL/時 = 10時間

午前10時+10時間 = 20時 = 午後8時

練習問題
輸液ポンプを50mL/時に設定し、1000mLの輸液を11月1日午後9時から開始した。終了予定時刻を求めなさい。時間は午前・午後表記で表すこと。(オリジナル)

1000mL÷50mL/時 = 20時間

午後9時 = 21時

21時+20時間 = 41時

41時-24時 = 19時 = 午後7時

よって、11月2日午後7時


看護学生のための計算トレーニングドリル

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この記事を書いた人

専門学校元教員・現講師で、基礎科目や情報処理系を担当。

教員への復職の道が絶たれ、この経験を無駄にしないため学習支援サイトを立ち上げました。

自身の知識を用いて、みなさまの学習をサポートしていきます。

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