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医薬品 体内動態
薬は、内服薬や外用薬、注射薬などによって投与されます。
これら薬によって、作用が発揮して、作用がなくなるまでの体内の動きを体内動態といいます。
体内動態は、吸収(A)、分布(D)、代謝(M)、排泄(E)の流れ(ADME)で行われます。
吸収
口から飲む薬に関しては、胃や小腸などの消化管から吸収されます。吸収効率は薬の脂溶性に大きく影響されます。(脂溶性の高い薬は膜を通過しやすい)
吸収された薬は、門脈系を経て全身循環血中に移ります。
注射薬の場合は、皮下・筋肉から静脈に移り、全身に回ります。
分布
吸収された薬物が血液に入り、タンパク質と結合して各部位に移動することを分布といいます。
吸収された薬は約1分で体内を循環します。
血中においては、血漿蛋白と結合している結合型と、結合していない非結合型(遊離型)で存在しています。
非結合型の薬は、血中から組織に移動することができます。
代謝
体内で薬による化学変化が起こることを代謝といいます。
代謝は主に肝臓で行われます。
薬が効き終わった後は不要になるため、体外へ排出するために排出しやすい物質に変化させます。
水溶性の代謝物は腎臓へ、脂溶性の物質は胆汁中へ移動させます。
排泄
代謝物を体外へ排出することを排泄といいます。
水溶性の代謝物は腎臓を経由して尿として排出され、脂溶性の代謝物は胆汁から腸管を経て便中へ排出されます。
2022年 問21
薬の代謝・排泄を担う主な臓器はどれか。(2つ)
1) 胃
2) 肺
3) 肝臓
4) 腎臓
5) 膵臓
答え 3、4
2019年 問31
医薬品の体内動態の過程ではないのはどれか。
1) 吸収
2) 阻害
3) 代謝
4) 排泄
5) 分布
答え 2
取扱に注意が必要な医薬品
麻薬
医療用麻薬とは、がん疼痛への鎮痛作用を目的として医療目的で詳報される麻薬のこと。
麻薬施用者は、都道府県知事の免許を受ける必要があります。
麻薬管理には、麻薬管理者を置き、麻薬管理者が受払いの管理や帳簿への記載を行う必要があります。
麻薬保管庫には、覚せい剤を一緒に保管することはできるが、それ以外の医薬品や現金、書類等を保管することはできません。
使用期限が切れたり、変質等により使用しなくなった麻薬を廃棄する場合には、あらかじめ都道府県知事に麻薬廃棄届を提出し、麻薬取締員等の立会のもので処理されます。
麻薬の滅失、盗難、所在不明、その他事故が発生した場合は、麻薬事故届を都道府県知事に届ける必要があります。
向精神薬
脳の中枢神経に作用し、思考・感情・意欲などに変化をもたらす薬のこと。
譲渡・譲受・廃棄したときは、品名・数量、譲渡等の年月日、譲渡等の相手方の名称・所在地を記録し、2年間保管しなければなりません。
保管は、人目のつかないところに保管し、盗難防止に必要な注意をしている場合以外は鍵をかけた設備内で行う必要があります。
廃棄は、届け出等の必要ありませんが、第1種向精神薬・第2種向精神薬を廃棄したときには記録が必要です。
向精神薬の滅失、盗取、所在不明、その他事故が生じた場合は、向精神薬事故届を都道府県知事に届けなければなりません。
毒薬
人への毒性が特に強い薬のこと。
容器・被包に黒字で白枠、白地をもって「毒」の文字が記載されていなければなりません。
毒薬は、他のものと区別して鍵をかけて保管しなければなりません。
劇薬
毒薬ほど毒性の強いものではないが、毒性の強い薬のこと。
容器・被包に赤枠に赤字をもって「劇」の文字が記載されていなければなりません。
劇薬は毒薬のように鍵をかけて保管する必要はありません。
生物由来製品
人その他生物に由来するものを材料として製造される医薬品等のこと。
ワクチン、遺伝子組換え製品、動物成分抽出医薬品などがあります。
容器・被包に白地に黒枠、黒字をもって「生物」の文字が記載されていなければなりません。
特定生物由来製品
生物由来製品のうち、販売し、賃貸し、授与した後において当該生物由来製品による保健衛生上の危害の発生または拡大を防止するための措置を講ずることが必要なもの。
輸血用血液製剤、ヒト血清アルブミンなどがあります。
容器・被包に白地に黒枠、黒字をもって「特生物」の文字が記載されていなければなりません。
特定生物由来製品の使用記録は20年保管しなければなりません。
これは、医薬品医療機器等法によって定められています。
2021年 問27
麻薬処方箋を発行することができる麻薬施用者免許を交付するのは誰か。
1) 市町村長
2) 法務大臣
3) 厚生労働大臣
4) 都道府県知事
5) 内閣総理大臣
答え 4
2019年 問30
特定生物由来製品の使用記録の保存期間を定めているのはどれか。
1) 医師法
2) 医療法
3) 健康保険法
4) 医薬品医療機器等法
5) 保険医療機関及び保健医療養担当規則
答え 4
2018年 問28
患者に投与した場合、患者氏名、住所、薬品名、製造番号、使用日を記録し20年間保存する必要があるのはどれか。
1) 毒薬
2) 麻薬
3) 筋弛緩薬
4) 向精神薬
5) 特定生物由来製品
答え 5
2022年 問22
医薬品の取扱について、誤っているのはどれか。
1) 麻薬と覚せい剤は同じ金庫に保管してよい。
2) 麻薬施用者、麻薬管理者は知事の免許を受ける必要がある。
3) 劇薬は、白地に赤文字・赤枠で薬剤名を表示しなければならない。
4) 向精神薬を廃棄した場合は、分類を問わず必ず記載しなければならない。
5) 特定生物由来製品は、患者情報やロット等に関して記録の作成と20年間の保管義務がある。
答え 4
2019年 問32
誤っているのはどれか。(2つ)
1) 抗がん剤は専用の処方箋で処方する。
2) 保険における医薬品の投与は原則7日分である。
3) 麻薬を処方する場合は、麻薬施用者番号を記載する必要がある。
4) 向精神薬は医薬品により処方可能な投与日数が制限されている。
5) 新薬は原則として最初の1年間は処方可能な投与日数が制限されている。
答え 1、2
2018年 問27
薬品のうち施錠保管が義務付けられていないのはどれか。
1) 劇薬
2) 毒薬
3) 麻薬
4) 覚せい剤
5) 向精神薬
答え 1
後発医薬品(ジェネリック医薬品)
後発医薬品とは、先発医薬品の特許期間(20年)が終了したものを同成分で作成した医薬品のことです。
それゆえに、効能・効果、用法・用量も基本的には変わりません。
ただし、後発医薬品を販売するためには医薬品の有効性、安全性を確認するためには試験が行われ、承認が行われます。
薬の開発をしなくて良い分、安価で薬を販売することができます。
2021年 問25
後発医薬品に関する記述で正しいのはどれか。
1) 開発に10年以上かかる。
2) 先発医薬品より薬価が高い。
3) 成分の探索を行って開発を進める。
4) 薬価の算出時に新規性の評価が行われる。
5) 治療学的に先発医薬品と同等であるかの評価が行われる。
答え 5
処方箋
医師が患者に対し、治療上厄災を調剤して投与する必要があると認めた場合に交付する書類のこと。
患者が処方箋を調剤薬局に持ち込み、提出することで、薬と引き換えることができます。
処方箋の記載事項
処方箋の記載事項は医師法施行規則により規定されています。
患者の氏名、年齢、薬名、分量、用法及び容量、発行の年月日、使用期間及び病院・診療所の名称及び所在地または医師の住所を記載し、記名押印または署名をしなければなりません。
健康保険法による保険を使った処方箋(保険処方箋)の場合、保険者番号等の記載も必要となります。
処方箋は、外来患者に交付する「院外処方箋」と入院時に発行する「院内処方箋」があります。院内処方箋は、本来記載すべき事項(保険者番号、医療機関の名称・所在地、処方箋の使用期間など)を省略することができます。
処方箋の使用期限
保健医療期間及び保健医療用担当規則 第20条、第21条により使用期限が定められています。
処方箋の期限は交付の日を含めて4日以内となっています。
条件により延長されることがあります。
処方箋の投与日数
一般薬においては、医師の裁量で自由な投与日数を処方することが可能です。
しかし、リスクのある薬においては処方日数の制限があります。
麻薬、向精神薬などでは、14日分、30日分、90日分とリスクに応じた投与期間の上限があります。
新規医薬品に関してはは、原則薬価基準に収載されてから1年間は14日分の上限があります。
処方箋の保存期間
処方箋の保存期間は、病院で2年間(医療法21条、医療法施行規則第20条)、保険薬局では3年間(保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則第6条)となっています。
2021年 問28
処方箋(麻薬を含まない)への記載が必要な項目はどれか。
1) 病名
2) 患者住所
3) 使用期間
4) 薬剤師名
5) 臨床検査値
答え 3
2022年 問23
薬価基準収載の翌月1月から起算して1年を経過していない医薬品における1回の処方日数の限度は、原則として何日か。
1) 7日
2) 14日
3) 28日
4) 30日
5) 90日
答え 2
2018年 問29
保険診療における処方箋について誤っているのはどれか。
1) 試用期間は交付日を含めて5日以内である。
2) 使用できる医薬品は薬価基準に収載されているものに限定されている。
3) 保険医療機関および保険医療養担当規則によって様式が定められている。
4) 麻薬処方箋は法で定める事項を記載し、記名押印または署名しなければならない。
5) 院外処方箋記載事項は患者氏名、年齢、薬名、分量、用法、用量、医師氏名である。
答え 1
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